11月19日にテレビ朝日の「渡辺篤史の建もの探訪」で紹介して頂く、「木と和紙の家」の魅力を伝えるために設計時に考えたことなどを連載で書いていこうと思う。初回は外観から。
外観についての要望は、和を感じるデザイン、落ち着いた色、庇のある形といった内容。それらを満たしつつ、シンプルですっきりとしたデザインにすることで飽きの来ない、納まりの良い外観を目指した。
メインの外壁はリシン吹付仕上で、雨のかかりにくいポーチや軒天には木を用いて耐久性に配慮しつつも木の雰囲気をデザインに取り入れている。ポーチ部分に張っている杉の羽目板はエステックウッドという熱処理によって耐久性を高めた杉材。外壁の杉材と造作の門柱の素材をそろえることで敷地内のデザインに統一感を持たせている。
写真には写っていないが屋根材はフラットなデザインの瓦を使用。瓦は屋根材の中で最も耐久性が高くメンテナンスの負担を軽減できる。また雨音もほとんどしないので静かな住環境を確保できる。瓦屋根は重いから地震に弱いという人もいるが、瓦の荷重を考慮して構造計算をし、必要な耐力壁を配置しているから全く問題はない。この建物は耐震等級3相当(緊急時に必要な消防署などの施設に求められる耐力)の耐力で計画されている。田所事務所の建物は地震が来ても倒壊しない、大きな補修も必要ないを目指している。
ポーチ部分の軒の出は約2.5Mあり、雨の日の出入りはゆとりをもって行える。また駐車場のトランクからの荷物の出し入れも軒下で行うことができる。
2階のインナーバルコニーも軒の出が2.5Mあり、夏の日差しをしっかり遮り、冬の日差しは吹抜けを介して1階リビングの奥まで届けてくれる。また洗濯物の急な雨もこれなら大丈夫。
飽きのこないデザインや強い構造の建物にするのは、施主の安全や資産のためはもちろんのこと、環境面においてもこれからはそういう建物を作っていくべきだと考えているから。
次回は外構。